みなさんは、こんな悩みを抱えたことはないでしょうか。
「習慣を始めたいのに、どうしても続かない」
「トレーニングしているのに、成長しているかどうかわからない」
「記録アプリを試したけれど、自分にはしっくりこなかった」
実は、これらはすべて私の悩みでした。なかでも特に厄介だったのが、ジムでのトレーニングを習慣にできないことでした。
そこで私は、自分専用の筋トレ記録アプリをバイブコーディングで作りました。すると、「習慣化できない」と「成長が見えない」という2つの問題が解消されたのです。
この記事では、そのアプリで何を作ったのか、なぜ作ったのか、そして実際に使ってどう変わったのかを順に共有します。技術の話は最小限にとどめるので、「こういう作り方もあるのか」「自分にもできるかもしれない」と感じてもらえたら十分です。
続かなかった原因は、気合い不足ではなく「仕組み不足」だった
最初にお伝えしたいのは、私がつまずいていた理由です。振り返ってみると、問題は大きく2つありました。そして、その2つが重なっていたからこそ、トレーニングが続きにくくなっていたのだと思います。
課題① 続けるだけで消耗してしまう
体力づくりのために最近、私はジムに通い始めました。ところが、始めること以上に難しかったのが 続けることでした。
そもそも、「きつい」「しんどい」と感じる行動を習慣にするのは簡単ではありません。人間の本能に逆らうような行為を、義務感だけで回し続けるのは無理があります。私自身、そのことを身をもって痛感しました。
課題② 記録がないから、成長も失敗も見えない
さらに厄介だったのが、記録をまったく取っていなかったことです。続かないだけでなく、改善の手がかりそのものがなかったのです。
たとえば、「本当に正しいやり方でできているのか」「重量設定は今の自分に合っているのか」といった基本的なことすら確かめられません。結局のところ、感覚だけを頼りにトレーニングするしかありませんでした。
その結果、ある日きちんと失敗します。
筋トレを始めてしばらく経った、ある日のことです。
私はダンベルの重量設定を誤ったまま、自分のレベルを明らかに超えた重さでトレーニングを続けていました。その場では「きついな」と思いながらも、なんとかこなせていたので、深刻には受け止めていませんでした。
ところが翌朝、起きた瞬間に異変がありました。腕が痛くて動かしにくく、ペンを持つだけでもつらい。仕事にも少し支障が出る状態でした。
そのときになって、ようやく「これはまずい」と本気で気づきました。
そこでAIに状況を相談してみると、問題点をいくつか指摘されました。同じ部位を十分なインターバルなしに使い続けていたこと。重量設定が、自分のレベルに対して重すぎたこと。要するに、原因は 管理ができていなかったことだったのです。
この体験で痛感したのは、データがなければ自分の失敗にすら気づけない、という事実でした。だからこそ私は、記録を仕組みとして残せるアプリを作ろうと考えるようになりました。
目指したのは、「無理なく続いて、成長も見える」状態
ここまでの話をまとめると、私に必要だったのは次の2つを同時に満たす仕組みでした。
- 習慣化のハードルを下げること
- 成長や失敗をデータで見えるようにすること
根性で乗り切るのではなく、仕組みで支える。そう考えた結果、自分専用のアプリを作るのがいちばん早い、という結論に至りました。
作ったのは、記録から振り返りまでをつなぐ3ステップの仕組み
具体的に作ったものは、派手なアプリではありません。むしろ意識したのは、「ジムの最中に無理なく使えて、あとでちゃんと見返せる」ことです。それだけの機能があれば、他には何もいりません。この目的を達成するためだけに、記録の流れを3つのステップに分けました。
ここでひとつ前置きをさせてください。私はトレーニング理論をしっかり理解している人間ではなく、完全な初心者です。記録しているデータの取り方に、理論上は粗い部分もあるかもしれません。ただ、私は「理論を完全に固めてから動く」より、「走りながら考える」ほうが合っていますので、見切り発車的に実装しました。そういう前提で読んでいただけると助かります。
まあそもそも、理論が間違っていたら、設計を修正すればいいだけの話です。致命傷にはならないでしょう。
全体像はこの3ステップ
| ステップ | ツール | やること |
|---|---|---|
| ① データ入力 | ウェブアプリ(スマートフォン) | セット間のインターバル中に入力 |
| ② 自動記録 | Google スプレッドシート | 送信ボタンを押すだけで保存 |
| ③ 可視化・振り返り | Googleデータポータル | 帰宅後にグラフで成果を確認 |
やっていることは、たったこれだけです。実際、全体の工程は10秒もかかりません。
① ウェブアプリで入力する
まず、セット間のインターバル中にスマートフォンでウェブアプリを開き、必要なデータを入力します。入力項目は次の4つだけです。
- 種目(何のトレーニングをしたか)
- 重量(何kgを扱ったか)
- 回数(何回こなしたか)
- 主観的なきつさ(10段階)


このうち、少し変わっているのが「主観的なきつさ」です。これは、そのセットがどのくらいきつかったかを10段階で残す項目です。トレーニング理論的に記録すべきかどうかは、正直まだよくわかっていません。Appleの純正フィットネスアプリにそのような項目が合ったので、それを参考にしました。単純に「面白そうだった」という理由もあります。ここはそこまで深く考えていません。


ちなみに、Appleのワークアウトアプリはこんな感じ。

② 入力したデータを、自動で蓄積する
このステップでやることは、とても単純です。送信ボタンを押すだけです。「スプレッドシートに送信されました」と表示されれば、その時点で記録は完了です。次の種目に備えて休むだけです。

ちなみにGoogleスプレッドシートにはこのような内容で保存されています。

③ 帰宅後に、データを見返す
最後に、ジムから帰宅したあとでデータポータルを開きます。データポータルは、Googleが提供しているダッシュボード作成ツールです。簡単にデータをグラフに変換できる優れモノです。
当然スプレッドシートのデータと連携しているので、トレーニング内容をグラフで自動的に確認できます。これを駆使すれば、「今日はどのくらいの重量を扱えたのか」「先週より伸びているのか」といったことが一目で把握できます。

「バイブコーディング」という作り方
ここまで読むと、「それをどうやって作ったのか」が気になるかもしれません。結論から言うと、このアプリはバイブコーディングという手法で作りました。
一言でいえば、これは 基本的にAIに作ってもらうスタイルの開発手法です。自分でコードを書く必要はほとんどなく、「こういうものを作りたい」とAIに伝えると、形にしてくれます。
私はエンジニアではありません。プログラムの専門知識も、ほぼゼロに近いです。それでもアプリを作れたのは、まさにこの作り方のおかげでした。
実際の開発は、想像していたよりずっとスムーズでした。たとえば、「ジムでさっと入力できるシンプルな画面にしたい」「スプレッドシートに自動で記録されてほしい」といった要望をAIに伝えると、まずコードを生成してくれます。もしエラーが出たら、その内容をそのままAIに渡す。すると、また修正案を返してくれる。このやり取りを繰り返していくだけで、動くアプリが少しずつできあがっていきました。
より詳しく知りたい方は、以下の動画をご覧ください。
なお、使用した技術・ツールはざっくり次の通りです。この記事は技術ブログではないため、詳細には立ち入りません。もし需要があれば、具体的なステップについて解説したいと思います。
- TypeScript / Next.js / React / Cloudflare / Google スプレッドシート API
実際に使ってみた感想
では、この仕組みを使い始めて何が変わったのか。振り返ってみると、変化は大きく3つありました。単に記録が便利になっただけではなく、トレーニングとの付き合い方そのものが少し変わったと感じています。はっきり言って、めちゃめちゃ満足しています。
① 「見えない」が解決し、「続かない」が改善した
まず、トレーニング内容がきちんとデータとして蓄積されるようになりました。しかも、入力はインターバル中に「ついで」で済ませられるので、私にとっての負担がとても小さい。そのうえ、グラフで重量の伸びが見えるようになってからは、モチベーションも自然と上がってきました。
なかでも大きかったのは、「記録を更新したい」という楽しさが生まれたことです。きついトレーニングであっても、その先に小さな達成感がある。だから以前より、無理なく続けられるようになってきました。
② 自作アプリへの愛着が湧いた
これは、正直かなり意外な収穫でした。自分で作ったものには、思っていた以上に愛着が湧くものでした。
他の人が作ったアプリではなく、「自分専用」のアプリであること。これがあるだけで、「使いたい」という気持ちが自然に生まれます。些細なことに見えるかもしれませんが、習慣化においてこの感情は侮れません。心理学的にも、自分が関わったものへの愛着は行動の継続に影響しやすいと言われます。自作アプリは、その心理をかなり素直に活かせるのです。
③ 無料で、自分好みに育てていける
もうひとつ大きいのは、拡張の自由度です。一般的な筋トレアプリには、欲しい機能がなかったり、有料サブスクが前提だったりすることがあります。
その点、バイブコーディングなら、自分専用アプリをほぼ無料で作れます。私自身、今後トレーニング理論を学ぶにつれて、欲しい機能はまだ増えていくと思っています。それでも、お金の心配を大きくせずに追加できる。つまり、自分の成長に合わせてアプリのほうも育てていけるわけです。ここは非常に魅力的だと感じています。
気合いではなく、仕組みで続ける
最後に、この記事でいちばん伝えたかったことをまとめます。私が実感したのは、習慣化の成否は、気合いや精神力だけでは決まらないということです。特にトレーニングのように、「きつい」が前提になる習慣は、最初のうちは本当にしんどいものです。続けること自体が試練になるのも、まったく不思議ではありません。
そういった習慣を定着させるうえで鍵になるのが、小さな進歩を可視化することです。
ジェームズ・クリアーはベストセラー『アトミック・ハビッツ』のなかで、このように述べています。少し長いですが引用します。
ディアズミッドは毎朝、まず机の上にふたつのビンを置いた。ひとつのビンには一二〇個のペーパークリップが入っている。もうひとつは空だ。彼は毎日席に着くなり、セールス電話をかけた。そのあとすぐ、ひとつのクリップを、満杯のビンから空のビンへ移し、これを繰りかえしていった。「毎朝、ビンに入った一二〇個のクリップを、もうひとつのビンへ全部移すまで電話をかけつづけたんだ」と、彼はわたしに語った。
(中略)
進歩すると満足感を得られるし、クリップやヘアピンやビー玉を移していくように、目に見えるものでその量を測ると、進歩した証拠がはっきりと表れる。すると行動が強化され、どんな行動でもわずかな達成感がすぐに得られる。目に見える測定法には、さまざまな形がある。食事日記、運動記録、ポイントカード、プログレスバーのソフトウェア、本のページでもいい。だが、進歩のようすを測る最善の方法は、「習慣トラッカー」を使うことだろう。出典:ジェームズ・クリアー著、牛原眞弓訳『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』パンローリング、2019年
私はこの考えに共感して、進歩を可視化するためのアプリを自作しました。ペーパークリップより手軽に、いつでもどこでも記録できるからです。
しかも今は、エンジニアでなくてもアプリが作れる時代です。技術的なハードルは以前に比べてかなり下がっています。「自分には無理だ」と思っていたとしても、やりたいことを言葉にできれば、自分専用のツールを持てる可能性があります。これは、かなり大きな変化ではないでしょうか。
もし今「習慣化できない」「続かない」と感じているなら、まずは気合いの注入より仕組みの導入を考えてみてください。大げさなものでなくて構いません。「記録する」だけでも、見えてくるものはあるはずです。
そして「もっと効果的に記録したい」と思ったなら、バイブコーディングを試してみてください。思っているよりずっと低いハードルで、自分だけの武器を手にできるはずです。



